マイハニー
珍しく休日なのに何も予定が入ってなくて、部屋でごろごろしていた。
ネイルを塗って、ふうふうと息を吹きかけながら乾かしていると
部屋にある電話の子機が鳴りだした。
お父さんとママは買い物に出ていて、階下にある親機を出る人はいない。
舌打ちしながら、のろのろと起き上がり、電話を取った。


「・・・野崎です」

「・・・サヤ・・・か?」


ずっと聞いてなくても忘れることができない、
いつも思い出しているお兄ちゃんの声だった。


「・・・お兄ちゃん」

「久しぶり、元気だったか?」

「まぁね・・・」


少しの間、沈黙が流れて、
何か言いかけようとするのだけど
話題が見つからない。
以前ならずっと喋ることができたのに。
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