マイハニー
プールで溺れた時に助けてくれて、
おぶってくれた時に嗅いだ匂い。

岡田くんに襲われそうになって、泣いていたあの夜。
一晩中、小さな子供をあやすように頭を撫でながら抱きしめてくれた。
私を慰めてくれた。
初めてのキス。

お兄ちゃんの温もり。
私の涙をぬぐう、長い指。

お休みの時に連れて行ってくれるドライブ。
運転をしているお兄ちゃんにいたずらをする。
手がふさがっているのをいいことに、
口の中にどんどんキャンディを入れていく。
リスみたいにパンパンに口を膨らませて、
喋れないお兄ちゃんを見て、涙が出るまで笑った。
信号で止まってお兄ちゃんが、
反撃だ～！って私に口移したいっぱいのキャンディ。
お兄ちゃんと半分こ。
いちご、メロン、ぶどう、オレンジ、パイナップル…
ミックスされたキャンディの味が絶妙に美味しかった。
いつもならすぐ噛んじゃうのに、
ずっと口の中に入れておきたくて、
ずっと舐めていたくって、
キャンディ同士が当たるカラコロという音を楽しみながら、
お兄ちゃんと２人で

「いちごの味がした」
「これはメロンかな」

なんて味の当てっこをしながら
ミックスされた味を楽しんだ。

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表紙・目次

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