マイハニー
お兄ちゃんはペンギンの水槽の前のベンチに座って、
空になったビールの缶を潰しながら
すーっとまるで空を飛ぶように泳ぐペンギンを
じっと見つめていた。
私も一緒になって無言で見つめる。
水槽を見ながら、お兄ちゃんが私に話し掛けてきた。


「オマエ、誤解してるだろ?」

「誤解?」

「写真見たんだろ?」

「何のこと?」

「いいよ、誤魔化さなくって」

「…」

「なんか最近オマエの態度変だなって。
 辞書に写真挟んでたの忘れてたよ、俺としたことが」


自嘲気味に笑うお兄ちゃんに、
ずっと気になっていたことを口にしてみた。

< 27 / 200 >

この作品をシェア

pagetop