マイハニー
海の水はそんなにきれいではなかったけど
気にせず靴を脱いで入る。
お兄ちゃんもジーンズの裾を膝まで捲り上げてジャブジャブ波と戯れている。
水の掛け合いっこをしたりして、
お互いの服が濡れてしまうくらいはしゃいでしまった。

砂を掘って足を埋めたり、一緒にトンネルを作った。
山を作り、向かい合って穴を掘っていく。
お兄ちゃんを見ると、真剣な眼つきで、口を尖らしながら
子供みたいな表情で集中していて、笑ってしまった。


「なんだよ」

「べつに。ねぇねぇ、お兄ちゃんの彼女ってどんな人だったの?」

「何、唐突に」

「きれいな人だったんでしょ?」

「まぁね」

「なんで別れちゃったの?」

「サヤはさ~、オブラートに包んで話すってこと知らねーの?」


呆れたように見るので「いいじゃん」と頬を膨らます。


< 85 / 200 >

この作品をシェア

pagetop