アダルトチルドレン
ひとりの夜
まだ太陽が昇っていない明け方
「…ユキ……」
私の名前を呼んで強く抱きしめる
薄暗い部屋にふたつの呼吸が交わる
肌を重ねている温もりが心地良い
「もう行くの?」
私は眠い目を擦りながら言った
「うん。子供たちに朝帰った姿見られたくないから」
私は悲しそうな顔をしてうつむいた
「またすぐ逢えるから」
困った顔をして彼は言った
「………分かったよ」
私は目を合わせないまま
彼は優しいキスをして部屋を出て行った
ひとり残されて部屋がさらに冷たく感じる
私はぼんやり天井を眺めていた