アダルトチルドレン
「今日せっかく来てもらったのに、全然席に付けなくてごめんね」

私は急いでグラスを下げながら言った

「大丈夫、気にしてないよ。そうやっていつも遅くまでひとりで残って後片付けしてるの?」

「うん。次の日に持ち込みたくないもん」

「俺手伝うか?」

「いいよ、もう少しで終わるから」


次々とグラスをトレーに乗せて運び終わらせ振り向こうとした瞬間


――ドテッ

「……いたぁい」

足が上がらなくて転んでしまった


「大丈夫か?!」

「んん、大丈夫」


よく見ると、転んだせいでスカートの裾が裂けてしまった

なんだか私の心も裂けそう

急に惨めな気持ちになった

「もう、ヤダ…」

思わず言ってしまった

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