アダルトチルドレン
「お前は水商売の世界は合わないよ。ほんとは自分のやりたい事あるでしょ」


「だって、喜代さんに逃げるようにお店辞めるのカッコ悪いよ」

「男に逃げて店から開放されるのとずっと店に縛り付けられるのとどっちがいいんだよ!」

喜代さんは怒鳴った

「!!……」

私は黙ったままで部屋が静まりかえった



私のくだらないプライドが喜代さんを怒らせた

どうしようもない表情を見られるのが嫌で下を向いた


「俺が守ってやるよ…」

顔を上げたら喜代さんの手が差し延べられている

私は喜代さんの手を見つめて目を深く閉じた

心の中で小さく決心をした

そして、ゆっくりと 喜代さんの手をとった



「…頼ってもいい?迷惑かけてもいいの?」

「たくさん俺に頼れ。これからもっとたくさんいっぱい甘えな」

握った手を引っ張って

喜代さんは私を力強く抱きしめた
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