1407号室においで
春日が顔をしかめると、口を開きかけていた景を遮り、凪が口を出してきた。
「嫁入りする前の情報が、一つとしてないんだ」
「―――‥‥‥ど、ういう、ことだ??」
案外景と凪はPC作業が得意だ。朔夜の為なら、足がつかないようにハッキングができるくらいの腕は持っている。
実際、朔夜を狙った本物のハッカーをハッキングして、相手のパソコンにバグを送って、三倍返し以上のことをしてやったこともある。愛故だ、愛故。
しかし、その二人が探し出せないとなると、相当厳重な口止めや、情報管理がされているのだろう。
「‥‥‥‥なぜだ??」
「さあね。ただ、かなりヤバいんじゃないの??その母親」
かなり真剣な表情で、春日が頷いた。
「よし、二人とも。今日からフレデリック・A・レイモンドから、我らの愛しの朔夜を守り抜くんだ。俺もできる手は全て打つ。多少怪我させようが構わない。とにかく、奴にだけはくれてやるな」
「「了解」」
春日の低い声音の命令に、景と凪が頷いた。
春日の妹愛の深さは、マントルより深い。