コイノユクエ
「お父さん、おはよう」
洗面所の鏡越しに父と目を合わせる。

「おはよう」
父は昔から寡黙な人だけど母が亡くなって一段と無口になった気がする。

「すぐ、ご飯だからね」
父の肩にタオルをかけ台所に向かう。

すっかり冷めた味噌汁を温め直していると制服をだらし無く着た一樹が欠伸をしながら起きてくる。
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