カンボジアのコト

見知らぬおいちゃんが増え、動揺ぎみの私。
女の子も無言。おいちゃんも無言。赤ちゃんも無言。
………。
困ったおいらは、とりあえず、当初の目的をはたすことにした。
おいちゃんの存在を無視して、
「×●×※×☆▼◎?←忘れた。」
と女の子に訪ねた。すると、女の子は首をかしげた。
しまった…おいちゃんの衝撃で言葉がおかしくなったか!?
その、おいちゃんには、笑われた。
でも、おいちゃんは、大人なだけあって、言いたいことを分かってくれて、女の子に伝えてくれた…っぽい。ガイドと同じ言葉を話していたから。
女の子は、納得いくように、笑って
私は、お腹がいっぱいです。って、さっきと同じ返事。
なので、ガイドの所へダッシュせずにすんだ。
もう1回×●×※△☆▼◎?と言ってみるが、やはり、発音がおかしいようで、
今度は、女の子にも笑われた。
おじさんと、女の子が先生になって、私に、×●×※△☆▼◎?の発音を丁寧に教えてくれる。
私も楽しいので、一緒に発音するが、
この言葉を使うタイミングは、そうそうやってこないと思う。
でも、女の子が笑ってくれるなら、それだけで、私は嬉しい。
この女の子の笑顔を、私は、この時初めて見た。
彼女が今まで笑わなかった理由を知ったのは、2年後でした。
せっかくなので、ここにも理由を書いておきます。
私達の大学が支援するってことは、彼女の家は支援が必要なのです。
誰かの支援なしには、暮らしていけないのです。
この国に、法律上年齢制限はあっても、
10歳そこそこの子どものうちから工事現場で働くような環境です。
雇ってもらえないような小さい子どもは、ゴミを集めたりしてお金にかえます。
想像してください。
お金がなくて、兄弟の多い家。
ある日、キレイに身繕いし、家にある一張羅を着せられ、親もこぎれいにして、
他の兄弟は家に置いて、1時間近く歩いて、見知らぬ建物へ2人でやってくるのです。
そして、そこにいるのは、自分たちとは、なんだか肌の色とか少し違う人。
親はとても笑顔で、
見知らぬ人は、好きな事や、家族の事を聞いてくる。
私なら、売られると思うね。笑えってのは、無理だよね。
食事もすんで、私たちは、そのまま、この支援している村を後にした。
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