嘘でもいいから


またいつか逢えますように



そんなことを願い、私は職員室に向かった。

幸い、中には誰もいなかった。

幸村先生を除いて―――……


「おぅ、広瀬。どうした?」


″先生に渡すものがあって。″

その言葉が言えない。

「暇…だったから」

″最後に思い出を作りたくて″

その言葉も言えない。

「そうか」

先生はそう言って少し笑みを浮かべた。

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