私の中の子供達
プロローグ
俺は雇った。

おかえりなさい が聞きたくて。


それはどういう事かと言えばこういう事だ。


俺が家に帰って来た時に「お帰りなさい」を言う事。それを条件に人を雇った。


俺はお金持ちではないけれど貧乏でもない。暇はないけど孤独は腐る程にある。

孤独は仕事から帰って、帰って部屋の戸を開けた時に絶頂を迎えるのだ。


「ただいま!」


いくら声を張ってみた所で



シーン



まさに


「咳をしてもひとり」 尾崎放哉


状態である。俺にはとても耐えられない。それは年々、歳を追うごとに思いは強くなってきたのだ。
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