私の中の子供達
これは俺にとってはある意味、夢の様な話だ。


しかし俺にとってであり、ピノ子にとってはどうなのだろうか?


自ら進んでやった事なのだから、嫌々やってるとは思えない。


だとすれば何故?


ピノ子が家で食事を取る様になった時に持った疑問がまた、俺の中でくすぶり始めた。


しかし何となくだが、聞いてはいけない気がした。


夢は夢のままで、そうっとしておきたい。触れてはいけない気がしたのだ。


触れればふっ、と夢は覚め、現実に戻ってしまうのではないだろうか?


手に入れてしまったこの幸せに、波紋を投げ掛ける事が出来なくなっている自分がいた。


悩みの種は既に芽を出してしまったのだった。



< 106 / 134 >

この作品をシェア

pagetop