私の中の子供達
焦点が合わずまばたきの無い目。

口はぽかーんとアホみたいに開きっぱなしで、口元近くまで運ばれた右手には、ショートパスタが刺さったフォークが握りしめられている。


まぁ、要は食べようとしているポーズのまま固まってしまった、というのがしっくりくるのではなかろうか。


そんなどうでもいい脳内解説は、島田の手から落下したフォークの「ゴトン」音により、コントの様にオチが付けられた。


「同棲…!彼女…いや、内縁の妻!!」

ピノ子の不適切な発言により、ベクトル違いの妄想を膨らませた島田は、両手で頭を抱え始めた。


ええい、面倒な。

一瞬放っておこうかとも思ったが、それでは奴をここに招き入れた意味がなくなるので、かくかくしかじか、さてはてふふ~む、と、ざっくり事の顛末を話してやった。


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