私の中の子供達
ドアが開くとすぐに店が見えた。看板は大きな木の丸太を薄く斜め切りにした様なものに、彫って墨を入れた「和らぎ」の文字がある。


「いらっしゃいませ。」


受付兼レジに立っていた着物を身につけた30代前半位の女性が、すぐ俺に気づき話かけてきた。


「お客様、ご予約はされていますか?」

「いえ、初めてでして。」

「それではこちらにご記入頂いてもよろしいでしょうか?」


「お客様カルテ」と書かれた紙には氏名や電話番号の他に、乾湿か猫耳か問うものや、今耳鼻科で治療を受けていないかなど、耳かきサロンぽいなあと思える質問がいくつもあった。


書き終わると簡単に店の説明をしてくれた。俺はとりあえず30分コースを受けてみる事にした。

< 25 / 134 >

この作品をシェア

pagetop