私の中の子供達
「あの、指名ってできるんでしょうか?」

「はい、別料金で500円頂きますがよろしいでしょうか?」

「はい。」


指名料をとるなんてキャバレーみたいだと思ったが、ここで指名しなければ意味がなくなってしまう。


「江崎さんにお願いしたいのですが。」

「…江崎ですか、かしこまりました。」


ん、なんだ今の間は?それに一瞬、女性店員の目が鋭くなったような…


軽い不安を覚えつつ店の奥に案内されていく。店内は和の雰囲気で統一され床に石が埋め込まれていたり、竹林のオブジェがある。小さめに区切られた小上がりがいくつもあり、昔は居酒屋など飲食店だったのではないかと推測できる。


女性店員が入り口の障子を開け「どうぞお入り下さい」と手を室内に向ける。店員が脱いだ靴を入り口の外にあるげた箱に入れてくれた。


「それでは少々お待ち下さい。」


店員はそう言って居なくなった。


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