私の中の子供達
小上がりの中は畳が敷かれている。置いてあった座布団に座りながら辺りを見回すと、室内の端にタオルやら肘掛け、それに何か道具が入っているだろう木製の小物入れが置いてあるだけでシンプな造りだ。


壁際にはそこだけ不釣り合いな、機能性に富む、角度が自由にまげられるライトが取り付けてある。


これはきっと耳掃除する際に使うのだろう。この照明では暗すぎると、天井に取り付けられた和紙の傘を被ったオレンジ色を醸す電球を見上げた。


そうしていると「失礼します」と声がして、入り口の障子が開いた。


入ってきた女性は着物におだんご頭。紛れもなく江崎さんだった。


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