私の中の子供達
彼女は後ろ手で障子を閉め、「いらっしゃいませ、江崎です。」と、嫌みの無い笑顔を見せた。


実際こうして見ると思ったよりも小柄だった。丸顔でぱっちりした目が印象的だ。美人というよりは可愛い感じで、「こんな子、新人にいたらいいなぁ」的な子だ。


「あの、」


俺の一瞬の妄想を断ち切る様に彼女が声を出す。


「はい?」

「私、前にどこかでお会いしましたっけ?」


唐突な質問だ。


「いや、無いよ」


あったら楽なんだけどなぁ、と思いながら軽く笑って答える。

「うわー、良かったぁ。」


…良かった?えーとどういう意味だ。モヤっとした俺をよそに彼女はホッとした表情だ。

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