私の中の子供達
「じゃあ早速はじめますね。うち、基本膝枕なんですけどいいですか?」

「え、あ、はい。」

「じゃあどうぞ。」


彼女は正座をして膝の上にタオルを敷いている。この上に頭を乗っける訳か…。


少し緊張しながら頭を乗せる。


うぉぉ、これはなんとも恥ずかしいぞ。


「あ、もう少し深く乗せてもらえますか?」

「あ、こうですか?すいません」


…客なのになんで謝ってるんだか…


「はい、これで大丈夫ですよ。じゃあ初めにうぶ毛を剃っていきますね。」


パチンとライトを付けた音にかぶさり、彼女の明るい声が聞こえる。


「…はい。」


銭湯で耳をきれいに拭いてきたからどうぞ、と心の中でつぶやく。第一印象は大事だ。「こんな耳の汚い男におかえりなさいなんて言いたくないわ。」なんて思われたら困るからだ。

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