私の中の子供達
「えー、お客さんはあまり怪しくないです。」

「…あまりって、少しは怪しいんじゃないか。」

「ふふ、でも好意的な怪しさっていうか、ミステリアスな感じがします。」

「ミステリアス?俺が?」

「あっあっ、ちょっと待って下さい。今当てますから。」


そう言うと彼女は手を止めて俺をジロジロと見ているようだ。視線を感じる。彼女は一体何を当てるというのだろうか?


「えーとですね、結婚指輪が無いので独身、腕時計は使いこんだ初代G-SHOCKでしょ。今も大事に使ってるって事は、物を大切にする人って事です。それで今日は金曜日だから職業は理美容師と車の営業以外です。この時間動けるなら自営業って可能性もありますけど…」


…この一瞬でこんなに探れるとはやっぱり、女性は恐ろしい。

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