私の中の子供達
「で、江崎さんの結論は?」

「はい、わかっちゃいました!お客さんはうっかり者です!」

「…はい?」


「靴下からお芋が出てます。」

「…芋?」


少し顔を上げて自分の足を覗き込むと…靴下に穴が開いて親指が間抜けに飛び出していた。


「あっ、しまった…この間捨て忘れてて薄くなってた奴だ…」


なんて恥ずかしい。穴があれば入りたいとは正にこの事だ。穴といっても靴下の穴は却下だが…


「あはは、すいません。そういうの見つけると黙ってられないんです。」


悪びれる事無く笑う彼女に、救われた様なバカにされた様な…しかし不思議と不快な気持ちにはならなかった。ここまでハッキリ言われると逆に気持ちが良かったからだと思う。


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