私の中の子供達
そんな思惟を巡らせつつ来店した5回目。店のレジに立つ30代の女性店長にも顔を覚えてもらい、もう疑わしい目でジロジロと見られる事はなくなっていた。


「平井さん、こんにちは~」


江崎さんもなんとか俺の名前を覚えてくれたらしい。


「なんかご機嫌ですね。いい事ありました?」


耳ツボマッサージをしてもらいながら会話をする。


「店長にも顔覚えてもらったみたいだし、俺も常連ぽくなってきたなって思ってさ。最初は店長にジーッと顔見られたりしてびっくりしたけどね。」


「ぷっ、あはは!」

「何?」


彼女は惜しげもなく笑い出した。散々笑って落ち着いた所で、急に話の続きを始めるのが彼女の行動パターンである。


「あのですねー、店長は平井さんの事危ない人じゃないかって疑ってたんです。」

「俺が?」


ある意味下心があった事は認めるが、なんだか心外だ。


「はい。だって新規で指名だったからじゃないですか?それに私、何か知らないけどいつの間にストーカーされてる事あるんですよ。だからじゃないかなぁ?」


…この隙だらけの緩い感じ、確かに目を付けられ易いタイプかも。…じゃなくて!


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