私の中の子供達
普段の脳内エコモードを休止した俺は、いつもより多めの仕事量にも関わらず定時に上がる事に成功した。


自分でもわかる位に少し弾んだ「お先に」と、愛しのタイムカード。


ジー、カッチョン


音を立てて飛び出す。うむ、今宵は殊更にめんこいのう。



ビルを飛び出し一目散に家へと向かう。早足かつ転ばぬよう、人にぶつからぬように。こんなに家が恋しいのはいつ以来だっただろう?


身を切る冷たい風も、今夜は家のぬくもりを存分に感じる為の下準備なのである。


とか思っている自分を照れくさいとは思わない程に、だ。


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