私の中の子供達
「じゃ、私帰りますね」


「あ、うん。本当にありがとうね。これからも宜しくね」


「任せて下さい！」


ビシッと手先を伸ばし、敬礼で応えてくれた。


鮮やかな色の糸で幾何学模様の刺繍が施された、小さめのバッグを手に取ると、江崎さんはスクッとソファーから立ち上がる。


「おかえりなさい」ばかりが気になっていたせいで、今まで気が付かなかったが、和服を脱いだ江崎さんはアジアンな江崎さんへと変身を遂げていた。


胸の辺りまでザックリと大きなカットの入った、ゆったりめの上着。ダブダブのズボン。首のストールにお婆ちゃんが履いてそうな丈の短い靴下らしきもの（俺の中では靴下カバーと呼ぶ）。


お団子頭はそのままだったものの、雰囲気はガラリと違った。


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