私の中の子供達
「次、平井さんね。えーと…」


彼女は辺りをキョロキョロと見渡し、台所にある冷蔵庫を見つめた。


「文治さんだから、ブンちゃんです!」

どうやらマグネットで留められた、電話の請求書の名前を見ていたらしい。


…ていうかブンちゃん!?


「じゃ、そういう事でお願いします」


彼女はそう言い残すと、煙草を缶にねじ込みあっという間に玄関へ向かった。


「おやすみなさーい」

「ああ、おやすみ」


ドアがパタン、と閉まり一気に静かになった。


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