私の中の子供達
「いやー、外冷えてきたね」

「そうですね。耳がキュッてなりました」


耳をつまんで見せるピノ子。耳には緑色のビーズが縦にジャラジャラ付いたピアスが揺れていた。



「俺、手ぇ洗ってくるね」


台所の奥にあるドアを開け、ユーティリティスペースに行き手を洗う。


手をタオルでゴシゴシと拭き、台所に戻るとピノ子がまだ居るではないか。


俺に気付きくるり、とピノ子が振り向く。


「あっ、ブンちゃんて夜ご飯まだですよね?」

「え、うん?まだだけど…」


「じゃあ…勝手に鍋作っちゃったんですけど、一緒に食べて下さい!」


ピノ子が体を横に避けると、土鍋が火にかけられていた。



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