私の中の子供達
「うん、分かった。じゃあ遠慮なくご馳走になるよ」

「そうこなくっちゃ」


ピノ子がお茶目にウインクする。


「だけどね」

「はい?」

「これはいい意味で借りだから、今度俺に何かご馳走させてよね?」

「はいっ」


弾ける様な笑顔で明るく、ピノ子は返事をした。


「じゃ、早速食べましょ。鍋敷きどこです?」

「ん、ちょっと待って…」


どこかにあった筈だが…と、辺りを見回すが見つからない。


結局、マガジンラックにあった読み終えた雑誌を使う事にし、テーブルの真ん中に置いた。


「熱いから俺運ぶよ。ピ…ノ子は適当に食器出してくれないかな?」


食器棚の方向を指差す俺。


「はーい」


ピノ子がパタパタと居間の食器棚に向かう。



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