私の中の子供達
まずいな。帰るのがかなり遅くなりそうだ。


俺は苛立ち気味のオフィスを抜け出し、喫茶室に行った。


遅くなるので今日は帰ってもらうよう、ピノ子に言わなければ。


俺は携帯を耳にあて、家の固定電話にかける。


余った片手でスコン、と紙コップを抜いてサーバーにセットする。ボタンを押すとコーヒーが勢い良く注がれた。


出ない。一度電話を切り再度かけても受話器が取られる気配がなく、留守番電話音声案内が聞こえる。


それをいい事にコーヒーをひと口すする。


“ピー”が聞こえる前にも呼びかけてみたが反応がない。仕方なく用件を吹き込んだ。



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