私の中の子供達
用を足し、居間に戻るとピノ子はテーブルに並べられた朝ご飯を前に、ちょこんと座っていた。


「おまたせ…お?」


テーブルの上には丼が2つ。昨日のカレーを再利用したと思われるカレーうどんがあった。


手を合わせて、いただく前の挨拶。


味の方と言えば、皆の知ってる通りのあの旨さだった。


ダシの効いたトロッと濃厚なカレーにコシの強い冷凍うどん。まったく、最近の冷凍食品はバカに出来ないもんだ。


「前の日のカレーに水を足して、めんつゆを入れただけです。これなら次の日でも飽きないですし。それに…」

「それに?」

「鍋が洗いやすくなるんです」


ピノ子は口元に手を添えて、「奥さま知ってます?」みたいな手つきで、おどけて話す。


「確かに」

「でしょ」


俺達は2人でにんまりと笑う。


温かくてやる気のでる朝食だった。



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