私の中の子供達
「いやあ~、やっぱ芹沢女史はやりますねぇ」


社内プレゼンの最中、島田が裏方として移動掲示板の後ろに居るのをいい事に、俺に小声で話かけてきた。


俺は目で「話すな」を表現する。


が、奴はそんな事はお構いなしである。


「大丈夫っす。役員は皆、芹沢女史に集中してますから」



これには一理あるかもしれない。と、思わせる程に彼女のプレゼンは素晴らしい。


要所を押さえた説明に説得力のある言葉選び。他チームの鋭い質問にも難なく対応。加えてアナウンサーばりの知性を漂わせる落ち着いた美声。


それから整った綺麗な顔によく似合う、キラリと光る金縁眼鏡とチェーンが一層彼女の魅力を引き立てていた。


勿論、スタイルだって抜群だ。


上着を脱ぎ腕まくりをした、いつもより服の枚数が少ない彼女に、ボケーッと見とれている男性社員も少なくないだろう。



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