♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
妙に緊張してきた。

二人っきりの空間で、どうやって過ごしたらいいのかわからない。

それに、あたしたちもう友達じゃないし。

彼氏の部屋に来てるんだよ。



妙な雰囲気にならないためには、ひたすら話し続けるしかない…

あたしは必死に話題を探す。



「牧村」

「…何?」

「もっと、こっち来たら?」

『もっと』って…

今でも十分近いよ。

手を伸ばせば、普通に届く距離じゃん。



瀬戸内は余裕の笑顔で、あたしを見下ろす。

断るのも悪いし…

あたしは、一ミリだけ瀬戸内の側に移動した。
< 10 / 259 >

この作品をシェア

pagetop