♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
「待って、貴斗!
あたし、貴斗のために言ったんだよ。

貴斗を裏切るなんて許せない…
貴斗がいるのに、オカシイよ」

瀬戸内は、振り返らずに歩いていく。



「あたしだったら、浮気なんかしない。

貴斗だけ…
ずっと貴斗だけだよ」

唯香ちゃんは、顔をおおってしゃがみこむ。

「待って、貴斗…
行かないで」



あたしは、どうすればいい?

このまま黙ってたら、瀬戸内はあたしを信じてくれる。

だけど…



唯香ちゃんのすすり泣く声が響く。

あたしは、泣き崩れる唯香ちゃんを木陰から見ていた。



瀬戸内は、まっすぐ前を向いて歩いていく。

あたしを疑う気持ちなんて、少しも感じられない。

そんな彼を、あたしは裏切ってしまった。



「待って、瀬戸内…」

あたしは一歩ずつ踏みしめながら、二人の前に出る。



「本当だよ…
唯香ちゃん、嘘ついてない」
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