♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
水着姿の彼が、無表情で壁に寄りかかる。

濡れた黒髪が、遠くを眺める瞳にかかっていた。



「瀬戸内…」

無意識に彼の名を口にする。

黒髪に隠れていた鋭い目が、あたしに向けられた。



「美月、何やってんの?」

浮き輪とビーチボールを抱えて歩いてくる愛菜。

完全に停止しているあたしと瀬戸内を見比べて、あっけらかんと言った。



「なんだ、瀬戸内も一緒じゃん。
つーか、なに突っ立ってんの?早く行くよ!」

瀬戸内を手招きして、愛菜はあたしの腕を引っ張った。
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