♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
外の風は冷たい。

コートのボタンをきっちりとめて、体を小さくするあたし。

だけど、瀬戸内と一緒ならどこでもいい。

あたしは、隣を歩く彼を見上げた。



瀬戸内は、大きな木の下にあるベンチを指差す。

あたしは軽くうなずいて、彼の隣に座る。



ここなら、寮から見えないだろう。

みんな、もう寝ているんだろうか。

誰もいないグラウンドは、すごく静かだ。

あたしは何も言わずに、空を見上げた。



「牧村、怒ってる?」

あたしをのぞきこむ瀬戸内に視線を向ける。

「…怒ってないよ」

別に、怒ってるわけじゃない。



今の気持ち、なんて言ったらいいんだろ…

あたしは視線をそらしてうつむいた。
< 24 / 259 >

この作品をシェア

pagetop