♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
「…ほっといてよ」

もう雨なのか、涙なのかわからない。

降りしきる雨が、おろしたままの長い髪を伝っていく。



「あたしなんか、どうでもいいんでしょ?

あたしが居なくても、全然平気なんでしょ?

あたしだって…あたしだって…」

瀬戸内がいなくても平気だと、ずっと自分に言い聞かせてきた。

だけど…

雨と一緒に、涙がハラハラこぼれていく。

あたしは何度もまばたきして、微かに視線を上げる。



「あんたには、わかんないでしょ?
あたしは、ずっと…」

激しい雨が、震えそうなあたしの声をかき消していく。

あたしは涙をこらえて振り返る。

ゆっくり顔を上げると、瀬戸内にまっすぐ視線を向けた。



「あんたのこと、忘れられなかったんだよ」
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