♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
「瀬戸内…」

あたしの声は小さすぎて、今にも消えてしまいそうだ。

両手でしっかり胸元を押さえて、あたしはゆっくり視線を上げる。



「あたしのこと、好き…?」

ほんの一瞬の沈黙でも、不安になる。

まっすぐ瀬戸内を見上げて、大きくまばたきした。



「…好きだよ」

かすれた声が、あたしの耳に響く。

あたしは、シャツを押さえていた手の力をゆるめる。

肩から滑り落ちたシャツが、バサッと床の上に落ちた。
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