♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
ふわっとした犬を目の高さまで持ち上げて、くりっとした目と見つめあう。

やっぱ、瀬戸内には似合わない…

あたしは、思わずふっと笑ってしまった。



「…何だよ」

何か言いたそうな視線が、あたしに向けられる。

「…いや、なんか瀬戸内に似合わないなぁと思って」

「悪かったな」

瀬戸内は、また前を向いてしまった。



「ありがと、瀬戸内…嬉しいよ」

瀬戸内があたしを見てないうちに、言ってしまおう。

そう言って、あたしも瀬戸内が見ている方向に視線を向ける。



「…どういたしまして」

話を聞いてなさそうな顔していたのに、ちゃんと返事してくれる瀬戸内。

あたしは、ふんわりした犬をそっとヒザの上に置いた。
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