♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
「いや、今日は…」

彼女からあたしに視線を向ける瀬戸内。

「牧村、用事って何…?」

あたしは、無言で彼を見上げる。

あたし、瀬戸内がチョコレート嫌いなんて知らなかった。

瀬戸内を名前で呼んだこと、一度もないんだよ。



「…特にないよ」

ポケットの中の包みをギュッと握りしめる。

「彼女と、どっか行ってきたら?」

目を合わせずに言って、瀬戸内に背を向けた。
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