♂ vs ♀ ~続・男女寮戦争~《完》
また教室に戻ってきてしまった。

教室には、黒板を消している男子が一人。

あたしは、コートを着たまま教室に入る。



「今日の当番、彩木だっけ?」

黒板の隅に書かれた当番の名前を確認するあたし。

「うん」

彩木は、黒板を消す手を止めて振り返った。



こいつで、ちょうどよかった…

あたしも、もう一つの黒板消しを手に取って彩木の隣に並ぶ。



「…手伝ってくれるの?」

「うん」

「さすが、牧村さん」

メガネ越しの目が微笑む。

あたしはさっきの映像を振り払って、キュキュッと黒板消しを動かした。
< 39 / 259 >

この作品をシェア

pagetop