飼い主に恋してる



わずかに開いていた口に………口を重ねた。


くっ…意外と口移しってむずいな。


コクリと飲んだのを確認してもう一口。飲んだの確認してまた一口。また一口とする内に水をやるのを忘れ俺は意識のない菜刄の唇をむさぼっていた。


「んっ…はぁはぁ……。」


濡れた唇を腕でぬぐう。


味わったのは甘美な唇。本能はもっともっとと求める。だが…


「さすが病人にこれ以上は……な。」


艶やかになった菜刄の唇を指でなぞる。

これ以上は……。



ここまで理性のきく犬(獣)はいないじゃねぇかな。もともと男なんてけだものだ。


落ち着け自分。自分を見失うな。








あとから思った、俺はこのとき最大の理性を使ったんじゃないかと……。











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