NUDE〜彼女の心〜

『今すぐそれ持って家にこいっっ!!』


どうやらすっかり目が覚めたらしい社長はそう言って電話を切った。


「…ハハッ!喜んでるっ!」


綻ぶ顔をそのままに、切れた電話を放り投げて俺は支度を始めた。


しかし、しばらく家に篭りっきりだったからヒゲ面だし、髪もボサボサだ。


まぁ…いいか。

まだ周りは暗いし誰も気にしちゃいねぇだろ。


そこら辺に落ちてたまだ綺麗そうな服をひっかけてジャケットを着ると、大事な原稿をしっかり握って家を出た。


しかし…−−。

まだまだ寒い夜明けの街に恨み言のひとつも言ってやりたくなった。


始発までまだ時間はあるし…走って行くには社長ん宅は遠い。


どうするか…。


途方もなく、はぁ〜…と思わず出たため息は白く、でもすぐ冷たい風に流されて消えた…−−。


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