NUDE〜彼女の心〜
息を整え、額にうっすらかいた汗を拭って。
何食わぬ顔して、いつもと同じように店に入って行った。
カランカラン…−−−。
その鐘の音におばちゃんがこちらを見て。
「いらっしゃい」
そう言うとニッコリ…というよりかはニンマリとした笑顔と共に俺の横にやってきて「来てるわよ、窓際の席」コソッとそう言った。
だから言われるままに窓際に目をやると、でっかいスーツケースを机の横において大盛りカレーを食べる彼女がいた。
さっきテレビに映ってたスーパーモデルとは違う、普通の女の子がそこにいて。
何でだか……安心した。
彼女と俺は住む世界が違う…−−そんなことは初めからわかっていたのに。
だけど最悪な初対面となった対談のあの日もここで再会したあの日も、彼女はいつだって普通の女の子だった。