NUDE〜彼女の心〜

−−−−…。
−−−−−…。


『命があるだけ奇跡です』−−−…あいつの意識が戻った時、医者はみんな口を揃えてそう言ったそうだ。


だけど…あいつにとってはあのまま目が覚めない方が良かったのかもしれない…−−−−。


「Naoちゃんの足は…−−もう動かないんです。」


元々落ちていた遠藤の肩はさらに沈み、声もさらに暗かった−−。


「………え?」


「事故で…大型トラックが突っ込んできた時に…頭も強く打ったんですけど、それだけじゃなくて…足も…。」


声を詰まらせ、呼吸を整えようと一呼吸おいた。


その時、俺の頭の中は真っ白で。情けないぐらいただ目と口を開けて何も考えられなかった。


何か…あまりに信じられなくて、現実味のないその話を理解しまいと俺の頭が働かないんだ。


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