NUDE〜彼女の心〜
しかしここで今更悩んでも仕方ない。それに答えはこの扉の向こうにあるんだ。
そう自分に言い聞かせると、一つ深呼吸をしてからあいつの病室の扉を開けた…−−−。
部屋はいつかのあの日と同じように夕日で真っ赤に染められていて。
その夕日がよく見える窓辺に車椅子に座った彼女がいた。
彼女は俺が入ってきたことに気づいているだろうのに、こちらを振り向くことも話しだすわけでもなくて。
ただジッ…と窓の外の夕日を見つめていた。
だから俺も黙って彼女の後ろ姿を静かに見つめていて。
そんな奇妙な沈黙が部屋を包み、いよいよ息苦しさを感じ始めた頃、彼女が口を開いた。
「私ね………孤児なの」
唐突過ぎるその話に一瞬驚いたが、前に遠藤に聞かされていたことを思い出し「………うん」とだけ答えた。