NUDE〜彼女の心〜

俺には…想像すらできなかった。


口うるさいお袋。

酔っ払うと気がでかくなって急に偉そうになる親父。

それから女のくせに普通に蹴りをいれてくる、気の強ぇ姉ちゃん。


俺にとっては当たり前にいて、それからちょっとうるさい家族。


それが彼女にとっては何一つ当たり前ではなく、そしてそれが羨ましいものだなんて…。


14歳っつったらちょうど思春期で、誰もが親を疎ましく思う時期じゃないだろうか。


外食できることは嬉しいものの、家族でいるところを誰かに見られてないかをちょっと気にしてみたりとか…。


そんな時期に周りの子たちとは逆に帰る家がほしかったなんて…。


そう思ったと同時にいつか話してくれたカレーの思い出話が頭を過ぎった。


カレーを家庭の味と言う彼女の本当の意味がわかった気がした。



< 257 / 516 >

この作品をシェア

pagetop