NUDE〜彼女の心〜
だから俺もつい条件反射で手に持ってた名刺入れを開いて。
『どうもどうも…』なんてヘコヘコしながら交換した。
名刺交換なんてのは社会に出たら当たり前で、いつも普通にしてることなのに。
見知ってる奴と、しかも学生時代にバカばっかりやってた奴とこうして仕事して名刺交換なんて。
照れ臭いような、くすぐったいような…何とも言えない変な感じだった。
多分、遠藤もそうなんだろう。受け取った俺の名刺をササッと名刺入れにしまい込むとすぐ話題を変えた。
アイツを覚えてるか?とか、誰々とはまだ連絡取ってるとか。
聞かされる懐かしい名前達に俺もいつしか夢中で声を上げて笑った。
元から苦手な対談、プラス社長からのプレッシャー。
知らず知らずの内に入ってた肩の力が遠藤とこうして笑ってたら嘘みたいに抜けていった。