NUDE〜彼女の心〜

その人に素直はニッコリ笑って。


「ありがとうっ!
おばあちゃんもがんばってね!」


車イスの後ろに立つ俺は申しわけない気持ちでいっぱいだった。


あの時、素直が俺を止めたのは俺が言ったら反感を買うだけだってわかっていたからなのかもしれない。


もしかしたらあのまま言い合いになってたかもしれない。


そうなってたら素直はリハビリルームへ来辛くなっていただろう。


自分が言うことで、ここにいる他の人への配慮も伝わるしあいつらへの牽制にもなる。


それに比べて感情のままに動こうとした俺って…もしかしなくても足でまといかも〜…。


自分で気づいてちょっとヘコみながら車イスを押す俺に、素直は前を向いたまま『ありがと…』なんて、呟くように小さい声で伝えてきた。


「……何の礼だよ」


礼を言われるようなことは何ひとつしてねぇってのに。



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