NUDE〜彼女の心〜
「それだけ自分を過大評価してたってことよ。」
「過大評価?」
「世界が注目する中を歩いてきた私に歩く練習!?みたいな。
ウォーキングなら死ぬほどやってきたけど、ただ普通に歩くための練習をこの私にさせるの!?って、ね。
バカにしないでって思ったわ。
しかもそんなことが記事に載ったりなんかしたらいい笑い者よ。
かつてのライバル達はそんな私のことをお腹を抱えて笑い、心の底から喜こぶでしょうし、私に向けられていた羨望や憧れといった眼差しは…同情に変わる。」
「………。」
「街を歩いてりゃサイン求められたり、写真だの握手だの。全然知らない人から応援されて、ファンレターやプレゼントをもらってさ?
今までがそんなだったから、こうなってしまってもう一生人目に触れたくないって思った。死んだことにしてくれって。」