NUDE〜彼女の心〜
考えてみりゃ…こんな風に誰かに自分の作った飯を食わしたことは今まで一度もなかった。
彼女が作ってくれたことはあっても、俺が作ったことはなかった。
だからなのか、何か妙に緊張してしまって。
黙々と食う素直をジー…と見つめた。
自分で味見はしたし、美味いと思ってんだけど…。
そりゃ『OLIVE』の親父に敵うとは思ってないけど…。
そう思いながらドキドキしながら見つめて…。
しかし、見つめ続けて数分ーーー…。
「…………。」
「…………。」
素直は無言で。
カチャカチャ、スプーンが忙しなく動く音しかせず…。
「お前、何とか言えよ…。
感想なしかよ。
不味くても『オイシー!!てゆーか、シェフになった方がいいんじゃない!?こんなに美味しいの食べれて、素直幸せ〜!』とか言えよっ!」
しびれをきらした俺はこっちから感想を催促すれば。
さっきまで引っ切り無しに動いていたスプーンはピタッと止まった。