NUDE〜彼女の心〜
ペラペラと余計なことまで話そうとする遠藤を黙らせ、俺は立ち上がると簡単な挨拶と共に右手を差し出し握手を求めた。
座っていたことで見下ろされていた俺も、立ち上がれば女性にしては背が高い彼女よりもいくらかは高くなる。
だが彼女は、差し出した俺の右手を取ることもなく。
離れたと思ったその視線を下から睨みつけるかのように絡めてきた。
ついでに言うと、ニコリとも笑わず。
俺の挨拶も無視で。
更に細かいことを付け加えるなら、約束の時間に大分と遅れたことも詫びずに。
ただ、ジーッと。
何かを窺うような、推し量るような。
瞬きもせずに、逸らそうともせずに。
少し釣り上がった黒目がちな目を俺に向ける。
「…………。」
「…………。」
はっきり言って妙な空間だった。